辰野金吾が設計した赤レンガの駅舎を期待して八重洲口から東京駅を出てしまうと、あまりにも雰囲気が違って戸惑ってしまう。丸の内側には1914年に建てられたシックな駅舎があるのに対し、八重洲側にはこれといって説明するのが難しい駅舎があるだけ。百貨店もあるし、高級ホテルもあるし、大きなバスターミナルもあるし、様々なお店が並ぶショッピング・モールもあって、機能的には便利であるものの、丸の内側の駅舎のようなランドマークになるような建造物はないのだ。
丸の内側と八重洲側で雰囲気が異なるのは今に始まったことではなく、東京駅が開業したときからのことだ。建設当初から首都・東京の中央駅として計画されていた東京駅は、表玄関を丸の内側に定めていた。その理由は簡単。丸の内側に皇居があるからだ。そのため丸の内側に瀟洒な駅舎が建てられる一方で、裏玄関になった八重洲口には駅舎はおろか、出入り口さえ設けられなかった。八重洲側に出入り口が設けられたのは開業してから15年経過した1929年のことで、暫定的に木造の駅舎が建設されるのはさらに19年経過した1948年まで待たなければならない。そのような東京駅の丸の内側と八重洲側の扱いの違いが今の雰囲気の違いに繋がっているのだ。
2023年4月 町角 東京 | |
丸の内 反射 シルエット 駅 傘 |
No
12475
撮影年月
2023年1月
投稿日
2023年04月08日
更新日
2023年08月08日
撮影場所
丸の内 / 東京
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
ZEISS BATIS 1.8/85