東京の日本橋の上に翼の生えた獰猛そうな動物が鎮座している。初めて見た人は、この像が西洋のドラゴンだと思うかもしれないが、実は違う。この銅像は中国神話に登場する伝説上の動物である麒麟だ。キリンビールのラベルに描かれているあの麒麟だ。本来なら、麒麟には翼はないのだが、日本橋の麒麟は、日本の道路の起点から飛び立つイメージから翼が付けられたのだそうだ。
想像上の動物である麒麟も、キリンビールのおかげで多くの人が知る存在になっている。僕もそのひとりだ。父親が飲んでいたビールのラベルに描かれたヒゲモジャの馬のような生き物の名前が麒麟と聞いて驚いた。動物園にいるあの首の長い生き物とは似ても似つかないのに、同じ名前を持っているのをとても不思議に感じたものだ。
キリンホールディングスによると、同社の前身であるジャパン・ブルワリー・カンパニーがビールの発売を始めようとしていた当時には、西洋からの輸入ビールには狼や猫などの動物を描いたラベルが多かったことから、荘田平五郎という重役が「東洋には麒麟という霊獣がいるのだから、それを商標にしよう」と提案し、新しく販売するビールのブランドを麒麟に決めたのだという。良かった。日本固有の伝説上の生き物には河童もいるから、日本固有であることにこだわっていたらキリンビールではなく、カッパビールになっていたのかもしれない。河童には悪いが、河童よりも麒麟のほうがずっとかっこいい。
2023年4月 町角 東京 | |
橋 高速道路 日本橋 撮影 像 |
No
12474
撮影年月
2023年1月
投稿日
2023年04月06日
更新日
2023年08月08日
撮影場所
日本橋 / 東京
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
ZEISS BATIS 1.8/85