かつて東京中央郵便局だった建物は中をくり抜かれてしまっている。外から眺めるだけなら、ちょっと後ろに背の高いビルがくっついているように見えるものの、1933年に建てられた外観をそのまま保っているように見える。しかし中に足を踏み入れるとちょっとびっくりだ。かつてあったであろう床が大胆に取り除かれていて、大きな吹き抜けの空間が広がっているのだ。まるで種をくり抜いたアボカドのようだ。
すっぽりとくり抜かれてしまった空間は、今では郵便局ではなくなりKITTEという名の商業施設になっている。くり抜いた後に残った壁に沿って様々なお店が並んでいるのだ。エスカレータで上のフロアに登り、並んでいるテナントには目もくれず、手すりの先に目を向けると吹き抜けの空間がよく見えた。ガランとした吹き抜けの空間を人びとが歩いている。
ちょっとした空間があると、屋台などを出して空間を埋めてしまうことも多い中、ここKITTEの空間には何も出ていなかった。何もない空間がある方が高級であるように見える。お金持ちの家は物が少なく、貧しい家ほど物でいっぱいだというけれど、商業施設の空間の使い方にも同じことが言えるような気がした。
2021年11月 町角 東京 | |
バックパック 丸の内 反射 買い物客 |
No
12083
撮影年月
2021年7月
投稿日
2021年11月07日
更新日
2023年08月17日
撮影場所
丸の内 / 東京
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
ZEISS BATIS 2/40 CF