商店街を抜けると路地の様相が変わった。同じようにお店は立ち並んでいるのだけれど、小売をするお店ではなく卸売のお店がばかりに変わったのだ。さっきまでと違ってシャッターの閉まっているお店も多い。そのような中で営業しているお店の前に一台のバイクが駐められていた。
大きな袋が荷台に積まれているところを見ると、これから納品に向かうところのようだ。でも、そう簡単に事は運ばない。どうやらいつもと違ってエンジンが掛からないようなのだ。お店の人がみな外に出てきてバイクを取り囲み、一斉にエンジンの辺りを覗き込んでいた。試行錯誤しているのだけれど、エンジンの機嫌はへそを曲げた女の子のように直ってくれない。これでは配送に向かうことはできない。みな一所懸命に直そうとしている。僕がすぐ後ろに立っていることなどに気がつくはずはなかった。
よく見てみると、集まった人の中に幼い女の子も混じっている。大人たちと同じようにバイクを覗き込んでいた。その気持ちは分かるものの、この子にできることは何もないだろう。女の子にできるのは心配そうに覗き込むことだけだ。
2018年8月 人びと タイ | |
路地 バンコク バイク 人びと |
No
10692
撮影年月
2017年9月
投稿日
2018年08月15日
更新日
2024年02月04日
撮影場所
バンコク / タイ
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
SONNAR T* FE 55MM F1.8 ZA