ついさっきまで雨が降り注いでいたから、路地の路面はしっかり濡れていた。この時期バンコクは雨季だった。毎日のように雨が降るのだ。地元の人にとっては憩いの雨なのかもしれないけれど、旅行者の僕にとってはありがた迷惑だ。路地に覆い被さるように建物が建っていて、日差しはあまり差し込んでこない路地にも雨粒だけはしっかりと入り込んでいている。路地は薄暗く、歩いている人もほとんどいない。まるでゴーストタウンに迷い込んでしまったかのような雰囲気だった。
路地に一角にはバイクが駐められていた。人気のない路地でバイクはじっとしたまま動かない。僕はバイクの横にしばし立ち止まった。何の音も聞こえて来ない。とても静かだった。これだけ建物が建っているからぞれなりの人がこの辺りに住んでいるはずなのに、その人たちはいったいどこへ行ってしまったのだろう。ひょっとしたら家の中で雨が止むのを息を潜めてじっと待っているのかもしれない。
2018年3月 タイ 乗り物 | |
路地 バンコク 薄暗さ バイク タイヤ |
No
10480
撮影年月
2017年9月
投稿日
2018年03月14日
更新日
2024年03月07日
撮影場所
バンコク / タイ
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
SONNAR T* FE 55MM F1.8 ZA