写真の男が働いているお店では家鴨の肉が売られていた。店先には、丸い木製の俎板が置かれ、その上には家鴨の頭が並んでいる。それらの頭はどれも飴色をしていて、既に燻製や何らかの調理が施されたもののようだ。家鴨の肉を食べたことはあるけれど、頭が出てきた経験はない。だが、こうしてお店に並んでいるということは、頭も立派な食材として利用されているのだろう。
男は大きな毛抜きを手にして、家鴨のくちばしを掴んでいた。一羽ずつ毛を処理しているのだ。どうやら調理後でも、細かい毛が残っているらしく、それを丁寧に取り除いている。一本一本慎重に抜くその作業は、見ているだけで気が遠くなりそうだった。
それでも、男は手際よく、そして根気よく作業を続けている。その姿勢からは、細部まで手を抜かないプロフェッショナルな仕事ぶりが感じられた。市場の日常風景の中で、黙々と行われるこの地道な作業に、食材への敬意が垣間見えるようだった。
2017年4月 人びと 台湾 | |
俎板 アヒル 食材 市場 老人 台南 |
No
10099
撮影年月
2016年9月
投稿日
2017年04月07日
更新日
2024年12月25日
撮影場所
台南 / 台湾
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
SONNAR T* FE 55MM F1.8 ZA