人気の惣菜屋の行列が短くなる気配はなかった

混雑しれている惣菜屋
台南の惣菜屋

台湾南部の古都、台南の夜は思いのほか暗い。路地裏の暗闇を当てもなくうろついていると、ぽつんと道の先に明るい場所が見えた。夜に舞う不気味な蛾のように、僕はふらふらとその灯りに引き寄せられていった。近づいてみると、そこは煌々と蛍光灯が光る街角の惣菜屋であった。店頭には多くの地元の人間が並び、大人しく順番が来るのを待っている。どうやら界隈ではなかなかの人気店らしい。黄色い看板のメニューには「排骨飯」や「肉燥飯(ローザオハン)」といった魅力的な文字が踊っており、見ているだけで腹の虫が鳴きそうになる。

その腹の虫が鳴きそうになるメニューの中でも、ひときわ目を引くのが肉燥飯である。日本でよく知られる魯肉飯(ルーローハン)と似ているが、台南など南部では豚肉のそぼろを乗せたものを肉燥飯と呼び、豚の角煮を乗せたものを魯肉飯と区別するらしい。字面を見ているだけで脂の甘い香りが漂ってきそうで、なんともたまらない。さらに店先を観察していると、どうやら並んでいる客の多くはテイクアウトがお目当てのようだ。台湾では外食文化が異常に発達しており、三食すべてを外で済ませたり、弁当箱に詰めて家に持ち帰ったりするのが当たり前になっている。

当たり前のように持ち帰りの弁当を待つ人々の列を、僕は道の反対側からぼんやりと眺めていた。次から次へと腹を空かせた客が原付バイクで乗り付けては列に加わるため、一向に列の長さが短くなる気配はない。店の奥では、エプロン姿の店員たちがそんな殺気立った状況の中で、汗だくになりながら必死で作業をしている。見れば見るほど実に美味しそうな惣菜屋である。さぞかし名のある名物店に違いない。しかし、僕は運悪くさきほど夕食を腹一杯詰め込んだばかりであった。僕は自分の間の悪さを少しばかり呪いながら、美味そうな匂いを放つ店を横目で見つつ、再び暗い夜道へと歩き去ったのである。

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ENGLISH
2017年1月 町角 台湾
バック・ショット 食材 お店 台南

PHOTO DATA

No

10021

撮影年月

2016年9月

投稿日

2017年01月29日

更新日

2026年05月15日

撮影場所

台南 / 台湾

ジャンル

ストリート・フォトグラフィー

カメラ

SONY ALPHA 7R II

レンズ

SONNAR T* FE 55MM F1.8 ZA

日本国外で撮影した写真

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