幼い女の子がお母さんと一緒にチャトゥチャック市場にあるスペイン料理店で待っていた

チャトゥチャック市場を歩いていると、賑わっている食堂の前に来た。満席で、待っている人びとがお店の前に行列をなしている。この食堂の雰囲気は周囲のお店とは異なっている。それもそのはず。ここはスペイン料理を出すお店だ。バンコク中心部でもスペイン料理店を見かけるのは珍しいと思う。それがこのちょっと中心から離れた市場の中にあるのだ。人気があるのも納得だ。

ガイドブックによると、このスペイン料理店は有名店だった。スペイン料理だけに目玉はパエリア。店頭に置かれている大きな平鍋で豪快にパエリアを作っている。大勢の客がそれを目当てにこの食堂にやって来ているのだ。

確かにお店の周囲に美味しそうなパエリアの匂いが漂っている。でも僕の食指は動かなかった。タイは食文化の豊かな国で、タイ料理自体が充分に美味しい。僕はタイの首都であるバンコクで美味しいとは言え、わざわざパエリアを食べる理由が思い当たらなかった。写真の幼い女の子も僕と同じように考えていたのかもしれない。女の子はお母さんの膝の上で所在なさそうに動き回っていた。

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