気がつくと、いつの間にか車窓から見える光景は変わっていた。さっきまで走っていた田園地帯を抜け出たようで、線路の脇に続いていた水田はもう見えない。その代わりにポツポツと民家が見え始めている。列車はこの路線の終着駅であるバーンレーム駅に近付いているようだ。宿のあるバンコクに戻るにはバーンレーム駅で列車を乗り換えて、さらに小一時間列車に揺られなければならないから、僕にとっての終着駅ではないけれど。
僕が腰掛けていた座席のすぐ近くには親子連れの姿があった。親子連れの席の窓は大きく空けられていて、心地良い風が車内に吹き込んでいる。幼い男の子と女の子は車窓の両脇に直立して、車窓の外の光景を食い入るように眺めていた。現れては消えていく家々が様子がよほど面白いのだろう。二人ともピクリともしないで見続けている。その横では、二人のお母さんが穏やかな顔をして腰掛けていた。
そうしているうちに、列車は徐々にスピードを落としていった。
2018年7月 人びと タイ | |
車窓 メークロン線 親子 列車 |
No
10659
撮影年月
2017年9月
投稿日
2018年07月22日
更新日
2024年02月07日
撮影場所
メークロン線 / タイ
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
SONNAR T* FE 55MM F1.8 ZA