女性は列車が通り過ぎる間、じっと下を向いてやり過ごしていた

やって来た列車はすぐ近くにあるメークロン駅に向かってゆっくりと進んでいる。列車が通り過ぎるまでの間、線路の上で開かれていた市場は一時的に閉店して、本来の線路の利用者である列車にその地位を譲るのだ。そして、お店で働いている人たちはしばしの休憩になるのだった。わざわざ市場の中を走る列車を見に来た観光客とは違って、お店の人たちは列車が通り過ぎることには特に興味も関心も無い。どのお店の人もお店の中で静かに列車が走り去るのを待っている。

この写真に写っている女性もやはり列車が目の前を走るのを静かにやり過ごしていた。お店の片隅に腰を下ろして下をじっと向いている。すぐ目の前を走る列車には一瞥もくれない。この女性のように市場で働いている人にとっては、一日に数回やって来る列車は定期的にやってくるスコールのようなものなのだろう。一度巻き込まれてしまったら、渦中にいる間は特にやることはない。じっとしながらやり過ごす他にないのだ。

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