プラットホームに電車が滑り込んできた。しかし、それは僕が向かいたい方向の電車ではなかった。電車のドアが開き、乗客たちがポロポロと降りてくるのを眺めながら、その電車をやり過ごした。
ふと電車の窓に目を向けると、金網が取り付けられているのに気がついた。その金網越しに子どもたちが外の景色を眺めている。じっとしている子もいれば、顔を動かして何かを追いかけるような仕草をする子もいる。その様子は、どこかしら微笑ましかった。
冷房のない電車だから、窓が開かないのは確かに困るだろう。けれど、自由に開閉できると窓から乗り降りする人が出てくるに違いない。それを防ぐための金網だと考えれば納得がいく。日本では、どんなに座席を巡る争いがあっても、車窓から乗り込もうとする人はいない。けれど、インドはきっと違う。
そういえば、エジプトでのことを思い出した。列車の窓際の席に腰を下ろし、のんびりと景色を眺めていたら、駅に着くなり大勢の人が窓から一斉に乗り込んできたのだ。その光景にはただ呆然とするしかなかった。金網のある世界には、何かしら金網が必要な理由が存在しているはずだ。
2024年12月 インド 人びと | |
車窓 ムンバイ 乗客 列車 |
No
12722
撮影年月
2024年5月
投稿日
2024年12月04日
撮影場所
ムンバイ / インド
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
SONY ALPHA 7R V
レンズ
ZEISS BATIS 2/40 CF