ほどなくして、列車はインセイン駅を出発し、窓からは気持ちの良い風が入り込み始めた。車両の窓という窓はすべて開けられているから、あちらこちらから風は吹き込んでいる。さっきまで車内に充満していた気怠さを新鮮な風が後方へ吹き飛ばしてくれるかと期待したけれども、気怠さはしっかりとこびりついているようで、そう簡単には雰囲気が変わることはない。それでも、列車はゆっくりと北に向かって進んでいた。地図を見る限りでは僕の目的地まではもう少しだ。
僕は車内の座席に腰を下ろしていた。この車両は日本製の中古車両のなのだけれど、輸出した際か輸入した際に座席を取り替えているようだ。座席はプラスチック製の固いものになっている。もともとあまり保線状態がよくないヤンゴン環状線を走ると、その振動が座っている体によく伝わってくる。なんだか、車内で寝ないようにわざとそうしているのではないかと思ってしまうくらいだ。それはそうと、僕の目の前には老人が腰を下ろしていた。車窓の外を指差している。でも、何を指差していたのかはわからなかった。
2019年2月 ミャンマー 人びと | |
車窓 老人 指差し 列車 ヤンゴン |
No
10909
撮影年月
2018年9月
投稿日
2019年02月23日
更新日
2024年01月20日
撮影場所
ヤンゴン / ミャンマー
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
SONNAR T* FE 55MM F1.8 ZA