路上の本屋を後にすると、すぐにまた別の商売人と行き会ったのだった。その男はロンジーを穿いて歩道の端に腰を下ろしていた。横には木製の机が置かれていて、日差しを遮るために日傘も備え付けられている。そして、机の上は大きなタイプライターで占められていた。
ここはダウンタウンの中心部で、辺りには官庁のビルが立ち並んでいる。この男は官庁に提出する書類をタイプライターで清書する仕事を営んでいるようだ。一言で言うなら「清書屋」とでも呼べばいいのだろうか。かつて訪れたインドのコルカタでも同じようにタイプライターを道端に置いて商売している男を見かけたけれど、ヤンゴンでも似たようなもののようだ。
見たところ、男の商売はあまりうまく行っているようには見えない。僕が会ったときも客は誰もおらず、男は暇そうだ。煙草を吸いながら、男は悲しげな目を僕に向けている。まがりなりにも、このような商売が成り立つということは、あれだけスマートフォンが普及しているのにもかかわらずパソコンの類いはあまり普及していないようだ。でも、このような代行業はパソコンの普及に伴い消えていく運命にあるに違いない。男が悲しそうな顔をしているのは自分の仕事の行く末を案じていたからかもしれない。
2018年12月 ミャンマー 人びと | |
煙草 ロンジー タイプライター 傘 ヤンゴン |
No
10815
撮影年月
2018年9月
投稿日
2018年12月02日
更新日
2024年01月25日
撮影場所
ヤンゴン / ミャンマー
ジャンル
ポートレイト写真
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
SONNAR T* FE 55MM F1.8 ZA