ミャンマーのヤンゴンで撮影。
露天市は賑わっていた。狭い道に大勢の露店商と買い物客が集まってきているので混雑している。露店商たちは肩を寄せ合うようにして商売をしていた。大声を上げて商品を売り込んでいる露店商たちの姿もあったりして、ゴミゴミした市場を歩いていると地元の人たちの活気を感じる。でも、皆が皆大きな声を張り上げて商売しているわけではなかった。中には穏やかに商売している人もいる。写真の男性は後者だ。
果物の入った大きな籠を路面に置いて腰を下ろしていた男は、目の前を大勢の買い物客が通り過ぎてもただただやり過ごしている。なんだか物思いにでも耽っているようだ。売り込みの口上をしなくても、男の商売は充分に成り立っているのだろう。僕が目の前に立ち止まっても、その表情は変わることはなかった。僕に視線を向けることもなく、どこか遠くを見詰めている。見ていると、この場所が賑やかな市場の真ん中であることを忘れてしまいそうな顔をし続けていた。