ボダナートの巨大な仏塔の麓で、ブッダの目とマニ車に見守られながら祭壇にお供え物をする女性

祭壇の前の女性
祭壇の前の女性

カトマンズ郊外にあるチベット仏教の巨大な聖地、ボダナートにやって来た。敷地の中央には、見上げるほど巨大なドーム型の仏塔(ストゥーパ)が鎮座している。その塔の上部四方には、見開かれた「ブッダの目(インサイト・アイ)」が鮮やかな色彩で描かれていた。この目は人々のあらゆる行為や世俗の善悪をすべて見通すと言われている。その巨大な目のギラギラとした視線を頭上に感じながら、参拝客に混じって歩いていた。

著者 : 石濱裕美子
中央公論新社
発売日 : 2023-04-25

その巨大な目の視線を頭上に感じながら歩いていると、仏塔の白く頑丈な側面に設けられた小さな祭壇の前に、一人のチベット族と思われる女性が佇んでいるのが見えた。彼女は背中をこちらに向け、真摯な様子で静かにお供え物を捧げている最中であった。その女性のすぐ左手には、真鍮製の金属筒であるマニ車が一つ、重々しく壁に備え付けられている。このマニ車の側面には「オン・マニ・パドメ・フム」という観音菩薩の真言(マントラ)がビッシリと刻まれており、筒の中には真言が印刷された経本がギッシリ詰まっている。要するに、手でガラガラと一回転させれば、経典を丸ごと一冊音読したのと同じ効果が得られるという、多忙な現代人には至れり尽くせりの横着な宗教システムなのだ。

その一回転させるだけで経典を一冊読んだことになるという横着なシステムを感心しながら眺めていると、巡礼者たちがぞろぞろとボダナートの仏塔の周りを時計回りに歩いていく。彼らは歩きながら、壁沿いにずらりと並ぶマニ車を右手に触れ、次々とガラガラと回していくのだった。頭上のブッダの目は、そんな人間のちゃっかりとしたご利益稼ぎもすべてお見通しに違いない。

ボダナートをGoogleマップで見る
 でコメントする
ENGLISH
2013年8月 ネパール 人びと
祭壇 バック・ショット ボダナート マニ車 境内 仏塔

PHOTO DATA

No

7823

撮影年月

2009年7月

投稿日

2013年08月24日

更新日

2026年07月22日

撮影場所

ボダナート / ネパール

ジャンル

ストリート・フォトグラフィー

カメラ

CANON EOS 1V

レンズ

EF85MM F1.2L II USM

日本国外で撮影した写真

すべての撮影地を見る »

被写体別のカテゴリ