小浜池の架かる石橋の上を手を繋いだカップルがゆっくり渡っていた

三島駅の駅前に楽寿園という公園がある。本邸を東京の神田駿河台（跡地は山の上ホテルになっている）に構えていた小松宮彰仁親王の別邸だったところで、園内には1890年に建てられた京都風の高床式数寄屋造りの建物（楽寿館）や湧水によって形成された小浜池などがある。贅を尽くして建てられた楽寿館も一見の価値があるけれど、約72,768平方メートルもあるこの公園の見どころは小浜池だ。

近年水量が少なくなっていると言われるものの、この日の小浜池はなみなみと水を湛えていた。轟轟と音を立てて湧水が流れていて、カワセミを狙ったカメラマンたちが僕の装着していた40mmのレンズが子供騙しに思える大きなレンズを携えて池の周囲に陣取っている。数日前に大雨に見舞われたためのようだ。

小浜池に浮かぶ小さな島も、水位の高いこの日は水の中にプカプカ浮かんでいる。渡るには細い石橋を渡らねばならない。手すりも何もない石橋を渡るのは怖い。落ちないように、落ちないようにと強く思えば思うほど、落ちてしまう気がしてしまうのはなぜだろう。

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