中山公園に国立国父紀念館という堂々とした建物が建っている。ここでいう「国父」とは、孫文のことで「中山」という名前は彼の号である。日本で亡命生活を送っていた頃、偶然目にした「中山」と書かれた邸宅の表札を気に入り、それを自らの号として使い始めたのだという。辛亥革命を起こした彼は、台湾でも中国本土でも尊敬されているという稀有な人物だ。台北にある孫文を記念するこのホールは驚くほど大きく、周囲には広々とした回廊が巡らされている。
その回廊は、何かエクササイズをするのにうってつけの場所に思えた。僕はここで太極拳をしている地元の人たちを見られるかもしれないと期待していたのだが、どうやらそれは外れたようだった。回廊は閑散としていて、太極拳をする人の姿はどこにも見当たらなかった。
その代わり、赤いTシャツを着た一人の女の子がいた。太い柱に寄りかかり、スマホをいじりながら何かに没頭しているようだった。静けさの中で彼女の赤いTシャツが鮮やかに目に焼き付いた。太極拳を期待して訪れた僕にとって、それは妙に印象的な風景だった。
2017年6月 人びと 台湾 | |
バック・ショット 女の子 柱 台北 |
No
10174
撮影年月
2016年9月
投稿日
2017年06月12日
更新日
2024年11月29日
撮影場所
台北 / 台湾
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
EF85MM F1.2L II USM