路地を歩いていると、遠くに大通りが見えた。路地の出口で、見える大通りはハヤム・ウルク通りだ。ジャカルタには大きな通りがいくつも走っているのだが、大通りと大通りを繋ぐのが大通りしか無いような作りになっている。大通りから脇に入ると、もう自動車が通りづらい路地ばかりなのだ。これでは自動車が大通りに集まってしまい、渋滞してしまうのも仕方がない。
そのようなことを思いながら大通りに繋がる路地を歩いていると、端に移動式の屋台とバイクが置かれていた。ベンチも置かれている。そして、ベンチには男の子がひとり寂しそうに腰を下ろしていた。どこかのファーストフードで買ったのだろうか、ソフトドリンクの入った容器を横に置いて、ケーキのようなものを食べている。
それだけならば、単にお腹の減った男の子が町角でおやつを食べているだけなのだけれど、ちょっと普通と違うのは男の子が壁に向かって食べていたことだった。男の子は路地を行き交う全てのものに背を向けて、ひとり黙々と食べている。何かに落ち込んでいるようにも見えた。けれど、見ず知らずの僕が声をかけて良いような雰囲気でもない。僕は何事もなかったかのように通り過ぎることしかできなかった。
2020年9月 インドネシア 人びと | |
ベンチ 男の子 ジャカルタ |
No
11658
撮影年月
2020年1月
投稿日
2020年09月04日
更新日
2023年08月31日
撮影場所
ジャカルタ / インドネシア
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
ZEISS BATIS 2/40 CF