​​かつては東京湾に向けてカノン砲が設置されていたところに、今では観光客が東京湾を向いて座っている

走水低砲台跡
走水低砲台跡
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逃げ水には決して追いつけなくとも、横須賀にある走水には追いつける。それどころか、ここは海岸もあり、漁港もあり、海の幸を出す食堂もあり、近代遺産もあって観光できてしまうところだ。走水は一見すると逃げ水の亜種のように思えてしまうけれど違う。川のように速く流れる潮流に由来して名付けられたとも言われる横須賀にある地名なのだ。

走水の辺りは東京湾で最も幅が狭い。そのため第二次世界大戦前は東京湾に侵入しようとする敵艦艇を撃退し、東京と横須賀軍港を防衛する目的で要塞化されていて、その遺構が残っている。走水低砲台跡だ。幕末に築かれた旗山崎台場跡地に陸軍が建設した砲台で、関東大震災の被害と火砲の進化から1934年に防御施設から除外された後も陸軍重砲兵学校の演習砲台として終戦まで使用された軍事施設の遺構だ。

ここから東京湾に侵入しようとする艦艇を砲撃しようというのだから、砲台のあったところからの眺めは良い。東京湾を行き来する船の姿がよく見える。かつて設置されていたカノン砲はとうの昔に撤去されてしまったものの、今では変わりにベンチが置かれていて、腰掛けた人の首がカノン砲よろしく東京湾に向けられていた。

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ENGLISH
2022年6月 神奈川 人びと
ベンチ 水平線 横須賀

PHOTO DATA

No

12298

撮影年月

2022年4月

投稿日

2022年06月16日

更新日

2023年08月12日

撮影場所

横須賀 / 神奈川

ジャンル

ストリート・フォトグラフィー

カメラ

SONY ALPHA 7R II

レンズ

ZEISS LOXIA 2/35

日本国内で撮影した写真とエッセイ

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