前に訪れた時と同じように、僕は電車でバンコクに帰ろうと思っていた。乗る列車は、ついさっき市場の中を走り抜けていった列車だ。市場を抜けると列車はすぐにメークロン駅へ辿り着いて、そこで折り返し運転をする。でも、すぐに折り返しの出発をするわけでもないので、それまでの時間をメークロンの町を散策することにした。
メークロンは単なる田舎町だ。有名な観光名所も無い。ガイドブックを開いても、線路市場以外のことは何も書かれていない。でも僕としてはそのような場所は嫌いではない。何の変哲もない道を歩くだけで、地元の人の日常生活が垣間見られるかもしれないからだ。
線路市場を離れると、通りは閑散としている。歩いていると、歩道に男の子がひとりで立っているのが見えた。まるで、建物の物陰で佇んでいるような感じだ。誰かが来るのを待っているのかもしれない。すぐに女性が現れたので、その人を待っているのかと思ったけれど、女性は何事もなく男の子の脇を通り過ぎていく。男の子の視線の先を追ってみても、こちらに向かってくるような人は誰ひとり見当たらなかった。いったい、何を待っていたのだろう。
2020年3月 町角 タイ | |
男の子 メークロン シャッター 歩道 |
No
11448
撮影年月
2019年9月
投稿日
2020年03月18日
更新日
2023年09月08日
撮影場所
メークロン / タイ
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
SONNAR T* FE 55MM F1.8 ZA