古来、多くの文化で鈴は超自然的な存在や人間を呼び寄せる道具として祭祀で用いられ、単なる楽器といよりも宗教性を帯びたシンボルだったという。日本でも神社仏閣にある鰐口がそうだろう。鰐口とは仏堂の前にぶら下がっていて、参詣者が綱を振って打ち鳴らするあの鈴だ。
仏教の世界では音を出す仏具を梵音具という。東京国立博物館によると、法要や儀式の中で音により時間の区切りをつけたり、進行のリズムを作るだけでなく、音を出すことで宗教的な雰囲気を高めるために梵音具が用いられるのだそうだ。確かに鰐口を鳴らすと、何かお祈りしないといけないような気がしてくる。
風鈴は中国から伝わった「風鐸」がもとになったと言われている。日本に梵音具として伝わると、鈴の音が聞こえる範囲が聖域とされ、災いから守ってくれるものとされていたようだ。そう考えると、浅草にある雷門のすぐ近くでカランカランと音を立てている風鈴は、災いから参拝客を守ってくれているのかもしれないけれど、都会の喧騒の中でその聖域はびっくりするほど狭いものだった。
2021年6月 静物 東京 | |
浅草 影 風鈴 |
No
11931
撮影年月
2020年10月
投稿日
2021年06月08日
更新日
2023年08月22日
撮影場所
浅草 / 東京
ジャンル
静物写真
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
ZEISS BATIS 2/40 CF