雷門の前を走る通りは、絶え間なく流れる交通の音で満たされていた。車道には大小さまざまな自動車が行き交い、その隙間を縫うように人力車が走っている。その光景は不思議な調和を保ちながらも、どこかぎこちなさを感じさせた。巨大な自動車と並んで同じ道路を進むというのは、考えるだけで冷や汗が出るような行為だ。それでも、人力車を牽く車夫たちの顔には、そんな恐怖の気配は微塵もない。
道路脇でその様子を眺めていると、1台の人力車が僕の前を横切っていった。車夫の動きは驚くほど滑らかで力強い。その姿に見惚れていると、ふと視線の先、遠くの車道をスーパーカーが疾走するのが目に入った。眩しいボディが反射する光が一瞬だけ車夫の影をかすめ、そしてすぐに消えた。その刹那、古めかしい人力車と未来を象徴するスーパーカーの対比が、妙に記憶の奥に焼き付いた。
2017年6月 人びと 東京 | |
浅草 自動車 リクシャー リクシャワラー |
No
10194
撮影年月
2016年11月
投稿日
2017年06月29日
更新日
2024年11月25日
撮影場所
浅草 / 東京
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
SONNAR T* FE 55MM F1.8 ZA