雷門通りを歩いていた。その名の通り、有名な雷門の前を横切るこの通りは、いつも多くの車で賑わっている。交通量は多く、エンジン音が絶え間なく響いている。しかし、ここを走るのは自動車だけではない。その隙間を縫うようにして、人力車が軽やかに進んでいく。エンジンの轟音に対して、車夫の無言の労働が何かを対比しているようにも感じられた。
歩いていると、二台の人力車が僕の目の前を通り過ぎた。その光景には、不思議な非日常感があった。この街では、人力車は観光用のアトラクションだ。外国人にとっては異国情緒を味わう手段であり、日本人にとっては郷愁を誘う乗り物なのだろう。けれども、僕自身には、そのノスタルジーがどこから湧き出しているのか、正直なところわからない。人力車が街に溢れていた時代を知らない僕にとって、それは過去の記憶ではなく、むしろ他人の記憶を借りて作り上げられた幻想に過ぎないのかもしれない。
2017年6月 東京 乗り物 | |
浅草 リクシャー |
No
10191
撮影年月
2016年11月
投稿日
2017年06月26日
更新日
2024年11月25日
撮影場所
浅草 / 東京
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
SONNAR T* FE 55MM F1.8 ZA