浅草寺の横にある浅草神社にできていた人垣に誘われてフラフラ近づいていくと、集まった人びとの視線の先に猿がいた。猿回しが行われていたのだった。時折神社仏閣で見かける猿回しは地味であるものの、歴史の長い大道芸だ。4500年前のメソポタミア文明ではすでに猿回しという職業があったというくらい古いものなのだ。
奈良時代に中国から伝わってきた猿回しは、長いこと単なる大道芸ではなく縁起物だった。今ではそのような意味合いを意識することはないけれど、猿には馬や牛の病気を祓い、健康を守る力をもつとする信仰・思想があるのだそうだ。そのため猿を牛馬舎の前で舞わせていたのだという。馬を大切にした武家の厩舎の厄病除けや祈祷の際にも重宝されたらしい。
そのような宗教性は時代を下るにつれ薄れてしまい、今では猿を扱う芸が大道芸として残っているわけだ。心配なのは動物愛護を掲げる団体が何か不穏なことを言ってこないかということ。現に意識の高いフランスではイルカを使ったショーや、サーカスでのトラやライオン、クマなどの野生動物の使用を禁止する動物愛護法案が可決されている。一度は途絶えてしまいかけた猿回しの芸も、法律で禁止されてしまうような時代が来るのかもしれない。
2022年1月 動物 東京 | |
浅草 猿 親子 大道芸 |
No
12157
撮影年月
2021年11月
投稿日
2022年01月26日
更新日
2023年08月16日
撮影場所
浅草 / 東京
ジャンル
動物写真
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
EF135MM F2L USM