人の人生なんて長くても100年くらい。文化の変遷を感じるには短すぎるのだろう。自分の幼い時分にあったものは太古から存在していて、これからも存在し続けると思いがちだ。でも実際のところは、文化は日々刻々と変化している。ゆっくり変化しているがゆえに、ほとんどの人が移り変わりをとらえられない。そのため世の中に「創られた伝統」というものが存在していても気が付かないのだ。
「創られた伝統」とは、古来から続くはずの「伝統」が実は創られたものであることを意味する。一見すると矛盾する単語を並べた単なる言葉遊びのようにも見えるけれど、「創られた伝統」という用語を作ったエリック・ホブズボームによると、これは社会が近代化していく中で「伝統」が求められた結果なのだという。近代化で失われてしまった旧来の伝統と現実社会の整合性を、新たに創り出すためのものなのだ。
目を凝らしてみると、世の中に「創られた伝統」は多い。スコットランドの伝統文化の象徴になっているタータン・チェックのキルトやバグパイプもそうだし、バリ島のケチャもそうだという。日本では、神社で行われる神前結婚式が立派な「創られた伝統」だ。今では当たり前のように行われている神前結婚式は、1900年に行われた大正天皇のご結婚の礼が嚆矢とされる。それほど古いものではないのだ。
2023年4月 人びと 東京 | |
原宿 お辞儀 明治神宮 傘 結婚式 |
No
12485
撮影年月
2023年2月
投稿日
2023年04月27日
更新日
2023年08月08日
撮影場所
原宿 / 東京
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
ZEISS BATIS 2/40 CF