1802年に建てられた大きな山門を抜けると、参道がまっすぐ本堂に向かって伸びていた。参道を歩く人の姿はなく、閑散としている。広々していて空も広い境内なのにもったいない。散策するには丁度いい雰囲気だった。ここは駒込にある吉祥寺という曹洞宗の寺院だ。
誰もいない参道を歩いていくと、脇に大きな釈迦如来坐像が鎮座していた。守護神でもないのに屋根も祠もない参道脇に鎮座していて、この場を借りて修行を続けているかのようだ。
吉祥寺というと多くの人が東京の武蔵野市にある吉祥寺駅周辺の土地を思い浮かべる一方で、駒込にあるこの吉祥寺という寺院がその地名の由来になっているのを知っている人は少ない。1657年に起きた明暦の大火でかつて駿河台にあった吉祥寺の門前町が焼失してしまった際に、住居を失った住人たちが移住した先が武蔵野市の土地で、吉祥寺に愛着を持っていた住人たちによりその地が吉祥寺と呼ばれるようになったのだ。
興味深いことに門前町の住人が移住したのは武蔵野市という都心からは離れたところであったのに対し、お寺自身は駿河台から駒込に移転しているだけだ。移転先の土地を吉祥寺と呼ぶほど愛着があったのだから、同じところに移転すればいいのにと思うのだけれども、そうは問屋が卸さなかったようだ。大人の事情があったのだろう。
2021年7月 静物 東京 | |
参道 仏像 駒込 寺院 |
No
11958
撮影年月
2020年12月
投稿日
2021年07月05日
更新日
2023年08月21日
撮影場所
駒込 / 東京
ジャンル
静物写真
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
ZEISS BATIS 2/40 CF