東京都港区にある愛宕神社というと、鳥居の先に待ち構える出世の石段が有名だ。鳥居をくぐって社殿に向かう人のほとんどは、故事にちなんで急な石階段を上がっていく。見ていると、ちょっと足の不自由な人でも急な階段を登っていくので、出世というキーワードが多くの人を引き付けるのだろう。その反面、急峻な出世の石段の横に、それよりも勾配が緩やかな女坂(写真の階段)もあるのだけれど、こちらを選んで通る人はほとんどいない。どうせ登るなら験担ぎのできる方を選ぶ人が多いのだ。
湯島天神でもそうだったけれど、ここ愛宕神社でも急な階段を男坂と呼び、比較的緩やかな階段を女坂と呼んでいる。ジェンダー平等という概念が存在しなかったとき、急な坂と緩い坂があったとすると、急な坂を男性的、緩い坂を女性的な坂と表すのが一般的だったのだ。今だったら、色々と面倒が生じるのを避けるために、男女の性差を用いたネーミングは避けるに違いない。その結果、名前から形態を思い浮かべるのが難しくなってしまうのも多い気がするけれど、それが正しい姿だとすれば仕方のないこと。どちらかというと、問題なのは女坂でも思いの外急勾配であることが多いことだ。
2023年8月 町角 東京 | |
愛宕 手摺 神社 階段 |
No
12527
撮影年月
2023年4月
投稿日
2023年08月13日
更新日
2023年08月24日
撮影場所
愛宕 / 東京
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
SONY ALPHA 7R V
レンズ
ZEISS BATIS 1.8/85