銀座の雑居ビルの中に設けられた螺旋階段を利用する人は少ないようだ

銀座を歩いていた。銀座コリドー街の辺りだったので、道の両脇にはレストランがびっしりと並んでいる。そのうちに僕はレストランがいくつか入った雑居ビルの中に足を踏み入れた。入ったからといって、このビルに何か用事があった訳ではない。ビルが気になったのは螺旋階段があるからだった。ビルの1階がオープンスペースになっていて、そこに螺旋階段があったのだ。

町を歩いていても、特に螺旋階段を探してはいない。でも、見つけると気になってしまうのが螺旋階段だ。何故ゆえに螺旋階段に惹きつけられるのだろう。実際には強固なつくりをしている螺旋階段が、じっと見ていると回転しているかように見えてしまうからだろうか。

この階段は地下階に向かって伸びていて、ダイレクトリーによると、そこにはイタリア料理店があるようだった。でも、食事時ではなかったから、階段を上り下りしている人はいない。閑散としている。見下ろしても、鉄で作られた階段が静かにグルグルととぐろを巻いているだけだった。

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