人間ではないと分かっていても、暗闇にマスクがあると不気味に見える。この日にやって来た銀座にある美術館は水槽をモチーフにした美術館なのにもかかわらず、入ると僕を出迎えてくれたのは水槽ではなくて能面のようなマスクだった。暗闇の中に掲げられたマスクはのほほんとやって来た僕をあざ笑っているかのようで薄ら寒い上に、モチーフになっている水槽とどのような繋がりがあるのかも分からない。アートアクアリウム美術館の展示は謎めいた導入で始まるのだった。
入り口にあったマスクがあまりにも強烈だったため、勝手に水槽とマスクをモチーフにした展示があるのかと思いきや、展示は金魚の泳いでいる水槽ばかり。確かに暗闇に置かれた水槽がライトアップされていると幻想的で、自在に泳ぎ回っている色鮮やかな金魚は美しく、この世の生き物ではないかのよう。しかしながら金魚が尾びれをピコピコ振りながら泳ぐ姿を眺めている僕の頭の中をよぎるのは能面のことばかり。単に綺麗なものよりも、人間の表情のように多義性のあるものの方が正解を掴めずに心に引っかかってしまうのかもしれない。
2022年11月 静物 東京 | |
暗闇 銀座 マスク・仮面 博物館・美術館 |
No
12391
撮影年月
2022年7月
投稿日
2022年11月04日
更新日
2024年09月04日
撮影場所
銀座 / 東京
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
ZEISS LOXIA 2/35