銀座駅よりもずっと新橋駅に近くて、銀座と言って良いのかどうか悩んでしまうところにギャラリーがある。株式会社リクルートホールディングスが運営するクリエイションギャラリーG8だ。グラフィックデザインやビジュアル・コミュニケーションに関する展示が多いギャラリーで、この日に展示されていたのは大貫卓也というクリエーティブデザイナーの作品だった。
何の予備知識もないまま、ギャラリーの中に足を踏み入れるとすぐにモノクロームの写真に囲まれた。どの壁にも同じような、白い鳩の入った黒い雪の舞うスノードームの写真が掲げられていたのだ。違うのはスノードームの中にある黒い雪の舞い上がり具合だけ。鳩の姿が見えないくらい黒い雪が舞い乱れているのもあれば、ほとんど舞っていないのもあるとはいえ、基本的な構図はすべて同じ写真だ。
作品を見ているだけでは分からなかったけれど、黒い雪の舞うスノードームを用いた一連の作品は広島に投下された原子爆弾をモチーフとした平和をアピールするポスターとその関連制作物なのだという。言われてみれば、黒い雪は原爆投下直後に降り注いだ黒い雨を思わせるし、鳩には平和のイメージがつきまとう。意外なことに鳩が平和の象徴というイメージが世界的に広まったのは、それほど古いことではない。ピカソが1949年に制作した「第一回平和擁護世界大会」のポスターがきっかけというのが本当だとすると、たかだか80年くらい前のことなのだ。
2022年12月 町角 東京 | |
ギャラリー 銀座 鳩 シルエット |
No
12408
撮影年月
2022年8月
投稿日
2022年12月06日
更新日
2023年08月10日
撮影場所
銀座 / 東京
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
ZEISS BATIS 1.8/85