新宿駅の東口から、今ではすっかり耳にしなくなった角筈という地名を冠したガード下を抜けると、細い路地にゴチャゴチャと小さな飲食店が軒を連ねたエリアに辿り着く。思い出横丁だ。
南口付近の工事も終わり、新宿駅周辺の再開発があらかた完了した感のあるこのご時世にあっても思い出横丁の辺りは昔と変わらない。新宿駅のすぐ近くという絶好の立地にもかかわらず、ここは再開発のうねりに飲み込まれることもなく、戦後の闇市の面影を残し続けている。
ここは焼け野原だったところにテキ屋の親分が闇市「ラッキーストリート」を作ったところ。「東京戦後地図 ヤミ市跡を歩く」という本によると、もともとは小田急百貨店のあるところまで続いていて、300くらい店舗のある巨大な闇市だったという。今の広さの3倍程度はあったらしい。それが1960年代に駅周辺が再開発されることになると、当時甲州街道から青梅街道まで連なっていた闇市の3分の2に建つ店舗が不法占拠で立ち退くことになった。結果、パレットビルと青梅街道の間にある80店舗余りだけが残り、今に至っている。
残った部分も昔ながらの路地を残そうとしたわけでもなく、思い出横丁の辺りの土地が個人の所有になっているため、再開発の波に飲み込まれなかったというのが実情のようだ。つまり今後も複雑になっている権利関係をまとめ上げる猛者が現れない限り、思い出横丁の再開発はできないのだ。
2022年1月 町角 東京 | |
路地 装飾 提灯 葉 西新宿 |
No
12150
撮影年月
2021年11月
投稿日
2022年01月19日
更新日
2023年08月16日
撮影場所
西新宿 / 東京
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
EF135MM F2L USM