吹き抜けになったコクーンタワーの通路を男がひとり歩いていた

西新宿を歩いていて、ひときわ目を引くのは周囲と一線を隠して丸みを帯びた外観をしているコクーンタワーだ。その名の通り繭をイメージしているのだろう。高層ビルなのに直線はどこにも見当たらず、下から上に向かって膨らんだ建物は、真ん中を超えると再び萎んでいく珍しい形をしている。なんでも設計に際して発注主から「四角ではないものを」というオーダーがあったらしい。結果、エンポリス・スカイスクレイパー賞という超高層建築に与えられる賞も受賞するような個性的なビルになったようだ。

西新宿に行くと、この独創的な建物に行くことは多い。別に東京モード学園に通っているわけではない。このビルに入っているブックファースト新宿店に足を向けてしまうのだ。この書店は大きく、平積みされている本を眺めるだけで、自然と時間が潰れていく。新宿駅近くには、まだ大きな書店が残っている。東口には紀伊國屋書店があるし、西口にはこのブックファーストがある。PARCOから本屋がなくなり、ブックファーストもなくなった渋谷とは大違いだ。

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