何も動くもののないサバンナでガゼルが派手に動いていたら、すぐにライオンに見つけられてしまうだろう。何かひとつだけ動いているのはとても目立つ。それは逆も真なりで、色々な物が動いている中でじっとしているのもまた目立ってしまう。要するに、空気を読まない行動を取るものは、周りから浮くということだ。
ジャカルタの路地にいた男は、薄暗い路地の端に腰を下ろしてじっとしていた。まるで自宅の居間で寛いでいるかのようだった。でも、ここはジャカルタの町中だ。狭くて物が散乱している路地を大勢の人が行き来している。その忙しさの中で、じっとしている男は何もしていないが故にとても存在感を放っているのだ。
何せ周りの人はあっちにこっちに動き回って働いていて忙しそうなのだ。そのような中でスマホの画面に見入っている男の神経のなんと図太いこと。僕の神経もこれくらい太ければ、今と違う人生だったかもしれない。でも、僕には左手に見えるTシャツの男が投げかけている冷たい視線に耐えられる自信はない。
2020年9月 インドネシア 人びと | |
路地 帽子 携帯電話 リラックス |
No
11677
撮影年月
2020年1月
投稿日
2020年09月23日
更新日
2023年08月30日
撮影場所
ジャカルタ / インドネシア
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
ZEISS BATIS 2/40 CF