市場の裏から伸びている細い道をズンズン進んでいくと、着いた先は住宅街だった。低層の家々が続く平凡な住宅街だ。このような街並みの中をあてどなく散策するのも、道端でのんびりしている地元の人とボディランゲージでコミュニケーションを取ったりして、想像以上に楽しいことが多い。けれど、この時は何の変哲のない住宅街よりも、どこの町にでもあるような市場の方が気になった。さっきまでウロウロしていたカノマン市場に戻ろう。平凡と平凡の争いは今回は市場に軍杯が上がったのだ。旅は一期一会だから、気になったら気になった時に行かないともう二度と訪れるチャンスはないかもしれない。インドネシアに来ることはあっても、ここチルボンへまた来るかどうかはわからない。
市場への道を戻ろうとすると、一軒の雑貨屋が目に入った。雨戸が大きく開いていて、赤いワンピースをまとった幼い女の子が、インスタントコーヒーの袋がいくつ垂れ下がっているカウンターに立っていた。嬉しそうでいて、なおかつ真剣な顔付きをしながら何か買おうとしていた。わずかなお小遣いの範囲の中で失敗は許されない。そんな気持ちになるのも理解できる、なんて思いながら僕はカノマン市場へ向かったのだった。
2021年1月 インドネシア 人びと | |
チルボン 雑貨屋 女の子 バイク ワンピース 住宅街 |
No
11798
撮影年月
2020年1月
投稿日
2021年01月26日
更新日
2023年08月29日
撮影場所
チルボン / インドネシア
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
ZEISS BATIS 2/40 CF