色づいた紅葉の向こうに九品仏の仁王門がどしんと構えていた

紅葉の向こうに建つ九品仏の仁王門
紅葉の向こうに建つ九品仏の仁王門
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かつて奥沢城だったところに建立された九品仏こと淨眞寺は、だった時に築かれた土塁に囲まれた境内に理路整然とお堂が建っている。浄土宗に属する寺院の境内は寺域全体が極楽浄土の様相にかたどられていて、現世に相当する東側にある本堂の中に釈迦如来が鎮座している一方、極楽浄土に相当する西側の場所に建つ三仏堂の中には極楽浄土の主である阿弥陀如来が鎮座している。

それだけではない。淨眞寺の公式ホームページによると「弥陀三六の願い」に噛み合うように境内には36という数字が至るところに用いられている。境内の敷地は3万6千坪で、三仏堂の各堂に立つ丸柱が36本、上品堂と向かい合う本堂龍護殿の間が36間になっていて往生にちなんだ作りになっているのだ。

細部まで作り込まれた境内の配置は1836年に発行された「江戸名所図絵」に描かれている配置とほとんど変わりないというから気合が入っていると思いつつ、ふと思うのだ。阿弥陀仏が仏に成るための修行に先立って立てた願い(阿弥陀仏の本願)の数は48だったはず。ホームページに記載のある「弥陀三六の願い」の36はどこから来ているのだろう。

浄土宗の経典のひとつである無量寿経に阿弥陀仏の本願が説かれているものの、無量寿経には異訳が複数あってそれぞれに本願の数は異なっているらしい。48だとしているものもあれば、24としているものも、36とするものもある中、ここ九品仏は本願を36とする仏説大乗無量寿荘厳経を経典として採用している模様。本当の本願が幾つなのかはわからないけれど、全て12の倍数なのをなんだか不思議に感じてしまう。

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ENGLISH
2022年2月 建築 自然 東京
奥沢 石灯籠 寺院

PHOTO DATA

No

12165

撮影年月

2021年12月

投稿日

2022年02月03日

更新日

2024年01月17日

撮影場所

奥沢 / 東京

ジャンル

自然写真

カメラ

SONY ALPHA 7R II

レンズ

ZEISS LOXIA 2/35

日本国内で撮影した写真とエッセイ

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