夕日が柔らかく降り注いでいた。その光が、屋根で覆われたプラットフォームにも入り込んでいた。列車を待つ間、僕はプラットホームの上をあてもなくウロウロと歩いていた。黄昏の光と静寂が、時間の流れをゆっくりと引き伸ばしているように感じられた。
ふと目をやると、駅室から駅員が姿を現した。彼はプラットホームの中ほどで立ち止まり、線路の先をじっと見つめている。おそらく、列車が近づいているのだろう。その列車が、僕が乗ろうとしているものだといいのだが――そんなことを思いながら、彼の姿を眺めていた。
やがて列車がゆっくりとプラットホームに入ってきた。その鉄の塊が発する低い音が、静けさの中に響いた。けれど、それは僕が乗りたい列車ではなかった。列車は短い時間停車すると、黄昏の中に溶けるようにして走り去っていった。
その後には、再び静寂だけが残った。
2017年5月 人びと 台湾 | |
嘉義 プラットホーム 駅 |
No
10152
撮影年月
2016年9月
投稿日
2017年05月23日
更新日
2024年12月05日
撮影場所
嘉義 / 台湾
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
SONNAR T* FE 55MM F1.8 ZA