嘉義の町の中心部は活気に溢れていた。台北や台南と同じように、道には多くの屋台が出ている。写真のジューススタンドも、そんな中心部の道端に立つひとつだった。若い女性が忙しそうに働いているのが見える。けれど、この屋台で売られているのは、いわゆるフレッシュジュースではないらしい。看板を見る限り、売られているのはヤクルト製の乳酸菌飲料のジュースのようだ。
看板には「猫町」と書かれている。その文字は日本語の「ねこちょう」と読むらしい。おそらく、日本風であることを売りにしているのだろう。台湾では、日本風のものが一定の人気を持っているように見える。かつて日本の植民地だったという歴史を考えると、この親しみは少し意外なものにも思える。少なくとも、朝鮮半島でのイメージとは大きく異なる。
道行く人々が当たり前のように屋台の前を通り過ぎる中で、この日本語の看板が台湾の日常の中に溶け込んでいるのが不思議だった。歴史が刻む痕跡は、いつの間にか形を変え、異なる文脈で息づいていくのかもしれない。
2017年5月 町角 台湾 | |
嘉義 食べ物の屋台 若い女性 |
No
10146
撮影年月
2016年9月
投稿日
2017年05月18日
更新日
2024年12月06日
撮影場所
嘉義 / 台湾
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
SONNAR T* FE 55MM F1.8 ZA