部屋に入ると、多くの陶磁器が並べられていた。今でこそ、西洋にもマイセンやウェッジウッドといった名の知れた陶磁器メーカーがあるけれど、もともとは中国発祥の技術だ。西洋で陶磁器が作られるようになる以前、王侯貴族たちはこぞって中国から陶磁器を輸入していたという。そのため、英語の「CHINA」という単語は、中国という国名だけでなく陶磁器そのものを指す言葉にもなったのだ。
展示品に添えられた説明書きを読めば、それぞれの陶磁器がどれほど古いものなのかは分かる。でも、その良し悪しとなると、素養のない僕にはまったく判断がつかなかった。しばらく見ているうちに、僕の関心は陶磁器そのものから、それを眺める人びとへと移っていった。
展示品を前にしている人たちを眺めていると、僕と同じようにそれほど興味がなさそうに見える人もいれば、逆に深い関心を持っている人もいる。その間を埋めるように、写真の女性が立っていた。彼女はどちらとも言えない中間くらいの表情で、陶磁器に目を向けている。熱心すぎず、無関心すぎず。その曖昧さが、むしろこの静かな空間にぴったりと馴染んでいるように見えた。
2017年5月 人びと 台湾 | |
嘉義 博物館・美術館 女性 |
No
10144
撮影年月
2016年9月
投稿日
2017年05月16日
更新日
2024年12月06日
撮影場所
嘉義 / 台湾
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
SONNAR T* FE 55MM F1.8 ZA