天王洲運河のすぐ近くに建つTERRADA ART COMPLEXには、その名の通りいくつものギャラリーが入居している。かつて倉庫だった建物をリノベーションしたギャラリーの複合体だ。ふたつある建物の各フロアにギャラリーが構えていて、ここに来るだけで幾つものギャラリーを見学できて得した気分に浸れる施設なのだ。
天井の高い各フロアを行き来するには、倉庫に荷物を出し入れするのに使っていた貨物用のエレベータに乗らなければならない。図体の大きな貨物用エレベータの動きは緩慢で、アートを堪能するには心のゆとりが必要だと言っているかのよう。
エレベータの大きな扉が開いて、足を踏み出すと無機質な共有空間の先にギャラリーが見えた。でも気になるのはその前に置かれた一脚の椅子。座り心地がいいのか判断に迷う個性的で尖った形をしている。ひょっとしたらこれもどこかのギャラリーのアート作品なのではないだろうか。そう思ったら、座ってみようと思った気持ちが一瞬にして萎んでしまった。インスタレーションなのかもしれないし、ものすごく高価なものかもしれない。いずれにしても椅子はポツンと罠のように共有空間で佇んでいた。
あとで調べてみたら、これはドイツ出身のインダストリアル・デザイナーであるコンスタンティン・グルチッチがデザインしたチェアワンという椅子でアート作品ではなかったと分かり、それなら座っておけばよかったと思ったのだった。
2021年12月 静物 東京 | |
椅子 ギャラリー 東品川 |
No
12129
撮影年月
2021年11月
投稿日
2021年12月23日
更新日
2023年08月16日
撮影場所
東品川 / 東京
ジャンル
静物写真
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
ZEISS LOXIA 2/35