ここはかつて海だったところだから、磯の香りを感じることはないものの、今でも潮風が吹いているのかもしれない。そう思わせるくらい東品川の都道に掛かる歩道橋は錆びていた。
塩害の原因になるため潮風が歓迎されないのと対照的に、塩の成分であるナトリウムは人間の身体に必須のミネラルのため、昔から塩は貴重品でありつづけた。日本でも1905年から1997年までの間、需給と価格の安定を図るため塩の専売制度が設けられていたし、ヨーロッパでもモーツァルトが活躍したザルツブルクの富の源泉は塩だ。
それだけ大切なミネラルなのに、多すぎても害を及ぼすのだから塩は不思議な存在だ。過ぎたるは猶及ばざるが如し。少なくてもダメだし、多すぎてもダメなのだ。塩分が多い環境では農作物の多くは生きていくことができない。塩害が発生すると農作物の育成が妨げられ土地の農業的な価値が低下するだけでなく、人間がそこに住めなくなってしまうのだ。
そう考えると、第三次ポエニ戦争で勝利した後、ローマが憎きカルタゴの土地に雑草一本すら生えてこないように塩を蒔いたのが鬼畜の仕業だとわかってくる。
2021年12月 町角 東京 | |
東品川 歩行者 歩道橋 影 |
No
12127
撮影年月
2021年11月
投稿日
2021年12月21日
更新日
2023年08月16日
撮影場所
東品川 / 東京
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
ZEISS LOXIA 2/35