男は二匹の猫と一緒に昼食を摂っていた

男がオフィスの前にテーブルと椅子を出して食事していた。JETROのレポートによると、ここインドネシアでは朝・昼・夕食を家族揃って一緒に摂るという習慣はないらしい。誰でも食べたいときに食べたい分だけ食べる個食が普通のようだ。職場においても個食が当たり前なのか、この男もひとりで食事中だった。

男の同僚は男がいつ何を食べようと気に留めることはなくても、猫はそうはいかない。男の食べていたものの匂いを嗅ぎつけたようで、二匹の猫が男の前で分け前を欲しそうにしていた。猫の嗅覚は犬ほどではないにせよ、人間のおよそ20～27万倍程度だという。近くで美味しそうな匂いを漂わせたら、隠し通すのは難しい。

男は優しい人のようだ。自分で食事を摂りつつ、猫にも分け前を与えていた。男が皿の中から料理をつまんで、ひょいと投げると猫はムシャムシャと味わっている。猫は猫でこのような状況に慣れているようで、無作法に男の元に近寄ったりはしない。男が座っているところから一段低いところで行儀よく男が食事を分けてくれるのを待っていた。ひょっとしたら、毎日一緒に食事しているのかもしれない。

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