ジャカルタの路地の奥にあったショッピングモールは閑散としていて、正面玄関の辺りでウロウロしていても、時折人が通りかかるだけだった。ショッピングモールというと、物だけでなく夢も売っているような雰囲気を醸し出すところが多いけれど、ここにはそのような楽しげな雰囲気はない。物は売っているけれど夢はないと喧伝しているかのようだった。
人はあまりいない代わりに、閑散とした路上は猫がのんびりと寛ぐ格好の場所になっていた。ジャカルタには猫が多く、ちょっと雰囲気が緩んだところは猫の居場所になっていることが多い。物欲と無縁の猫たちには、華やかさよりも穏やかな雰囲気の方がずっと心地よいに違いない。
写真の猫も道の真ん中で寝転がって寛いでいた。僕が近くに寄っても、一暼をくれるだけで逃げはしない。害を与える人間と思われなかった、というより眼中にないのだろう。そんな猫も、遠くの方に数人の人影が現れると身を起こして警戒している。
向こうからやって来る人びとは僕と違って、猫に害を与えかねない人たちだったのかもしれない。猫の背中は忍び寄りつつある危機に、緊張しているようにも見えた。
2020年7月 動物 インドネシア | |
猫 ジャカルタ 用心深さ |
No
11619
撮影年月
2020年1月
投稿日
2020年07月27日
更新日
2023年09月01日
撮影場所
ジャカルタ / インドネシア
ジャンル
動物写真
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
ZEISS BATIS 2/40 CF