列車はゆっくりと北に向かって走っていた。車内はそれほど混雑している訳でもないけれど、座席は埋まっていて通路に人が立っていた。僕もつり革に握りながら車窓から見える景色をぼんやりと眺めていたのだった。話をしている人はほとんどおらず、車内アナウンスもない。列車は静かにガタンゴトンと走っていた。
そのような静寂さを打ち破るかのように、時折声を上げる人が現れる。行商人だ。ミャンマーでも他のアジア諸国と同じように商品を山のように抱えながら、車両の中で販売する人たちがいるのだった。
この時隣の車両から姿を見せたのは、女性の行商人だった。頭上に揚げパンが山積みになったトレイを乗せてながら、列車の中を移動している。何を言っているのかは分からないけれど、売り文句を大きな声で話していた。僕なんかは珍しくて、行商人が現れると今度は何を売る人が来たのかと気になってしまう。でも、地元の人たちは無関心だ。僕の周りには小腹を減らした乗客はいないようだった。
2019年2月 ミャンマー 人びと | |
行商人 列車 お盆 ヤンゴン |
No
10899
撮影年月
2018年9月
投稿日
2019年02月15日
更新日
2024年01月21日
撮影場所
ヤンゴン / ミャンマー
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
SONNAR T* FE 55MM F1.8 ZA