台湾の台南で撮影。
日が暮れるにつれ、台南の町の食堂や屋台は活気を帯びてくる。夕食の時間がやって来たのだ。当たり前のことだけれど、食事を摂るということはどこの国の人間にとっても重要なことだ。でも、中国人ほど重きを置いている人はいないと思う。中華文化圏の人の食事にかける意気込みというのは日本人なんて足元にも及ばないような気がしてしまう。
小さな食堂にいる人たちを眺めていたら、ヘルメットを被った女性がやって来た。スクーターにでも乗ってここに食べに来たのだろう。金属製のトレイを手にすると、女性はおかずを淡々と選んでいる。数多く並んでいるおかずを見ても、女性の心は踊らないようだ。このように食文化が豊かな場所は世界の中でも稀であることなんて、どうでもいいことなのだ。