ヤンゴンから川を渡った先にあるタニンの街を歩いていた。ミョーマ市場の入り口を通りかかると、一台の古びたトラックが停まっていた。後部の扉が大きく開け放たれており、荷台には気が遠くなるほど沢山の網袋がぎっしりと積まれている。荷台の上に立つ男の指示のもと、大勢の荷運び人たちが群がり、次々と袋を受け取っては市場の奥へと消えていく。忙しなく荷降ろしをしている最中なのだ。トラックの車体をよく見ると「千葉三菱ふそう」という日本語がそのまま残されている。ミャンマーでは日本の中古トラックが塗装も直されずに走り回っていることが多い。そんな長旅をしてきたトラックから降ろされている網袋には、どれも大量のニンニクが詰め込まれていた。
その大量のニンニクが詰め込まれた重そうな網袋を、男たちは汗だくになりながらすべて人力で運んでいる。ミャンマーの料理には油とニンニクがたっぷりと使われるため、毎日の消費量も半端ではないらしい。写真の奥には「中国大蒜」と書かれた白い袋も見えるから、陸続きの隣国から大量に輸入されているのだろう。フォークリフトなどの便利な機械など使わず、ひたすら肩に担いで何往復もするのだから、端から見ているだけでも随分と骨の折れる作業である。
その随分と骨の折れる作業を黙々とこなす男の一人が、ちょうど荷台から新しい袋を受け取ったところだった。ズッシリと重そうな袋を首の後ろに乗せ、ひどく前のめりになりながら足を踏ん張っている。下半身にはロンジーというこの国特有の筒状の布を巻きつけているが、上半身に着ている赤いTシャツには、お馴染みのネスカフェのロゴとキャッチフレーズがデカデカとプリントされていた。スイスに本社を置くネスレという巨大なグローバル企業は、こんな埃っぽい異国の市場で働く男の胸元にまでしっかりと入り込んでいる。なんでもヤンゴン近郊には彼らの工場も稼働しているらしい。僕はその資本主義の浸透力に少しばかり感心しながらも、ただ邪魔にならないようにそっと道を空けたのだった。
| 2019年5月 ミャンマー 人びと | |
| ニンニク 労働者 ロンジー 荷台 ずだ袋 タンクトップ タニン トラック |
No
11023
撮影年月
2018年9月
投稿日
2019年05月23日
更新日
2026年05月21日
撮影場所
タニン / ミャンマー
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
SONNAR T* FE 55MM F1.8 ZA