鬼が出入りし集まるとされる鬼門を封じるために、江戸城の北東にある上野に寛永寺を配置したのと同じように、鬼門の正反対の方向である裏鬼門を封じるために配置されたとされる芝の増上寺は、徳川家の菩提寺でもありかつては今よりもずっと広大な境内を誇っていたという。
明治維新後の神仏分離の影響で増上寺の境内のうち、かなりの部分が芝公園になってしまっている。東京プリンスホテルの建つところも、芝高校の建つところもかつて境内だったのだから縮小してしまっているとはいえ、往時の見る影もない上野の寛永寺に比べたらかなりマシかも知れない。立派な朱色の三解脱門を抜けると緩やかな階段の先に巨大な本堂が建っていて、浄土宗の七大本山のひとつとしての威厳を保っているように見える。
年末の増上寺は閑散としていた。参拝客の姿もチラホラ見えるものの、正月の大混雑に比べたらいないのも同然。境内は嵐の前の静けさを体現しているかのようで、寺院幕に地染め白抜きされた紋だけが来たるべき寿司づめ状態を待ち構えているようだった。
2022年2月 人びと 東京 | |
本堂 老婆 芝 寺院 |
No
12171
撮影年月
2021年12月
投稿日
2022年02月09日
更新日
2023年08月16日
撮影場所
芝 / 東京
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
ZEISS LOXIA 2/35