増上寺に来るたびに木造の大きな門がよく残っているものだと思っていた。日比谷通りに面して建つ増上寺の三解脱門は1622年に建てられたもの。それから400年間もの間、ずっとここに建っているわけで、その長い月日の間には安政の大地震(1850年代)や関東大震災(1923年)などの天災もあれば、第二次世界大戦中の空襲などの人災もあったのにびくともしないで建ち続けているのだ。これはすごい。木造だけに火災には脆弱なのだけれど、地震で生じた火災に巻き込まれることもなく、B29の投下した焼夷弾で着火されることもなく現存しているのだ。実際、同じように増上寺の境内にあった徳川家霊廟の壮大な建造物のほとんどは第二次世界大戦中に焼失してしまってほとんど残っていない。
この日も仰ぎ見るように朱色の門をくぐり抜けると、普段は見ない看板が目に入ってきた。通常は非公開の三解脱門の楼上内部が特別公開されているというではないか。いつも通り抜けるだけで意識していなかったものの、確かに大きな門の中に登れるスペースがあっても不思議ではない。登れるようになっていないだけで、登ってみたら門の上からの眺めがいいに違いない。そう思った僕は拝観料を払い門の上に登ったのだった。なんでも楼上内部が公開されるのは11年振りのこと。この機会を逃したら、次はいつになるのかわからないのだ。
急ごしらえの階段を登っていくと楼上はあっという間で釈迦三尊像と十六羅漢像が出迎えてくれる。写真は一六羅漢像の一部だ。普段は誰も来ることのない暗闇の中、じっと腰掛けているだけの羅漢像もこの日ばかりは大勢の来訪者を迎えてイキイキしているように見えた。でも羅漢像と対照的に僕は楼上から外を眺めた光景が期待していたほど面白くなくてちょっとがっかりしていた。
2023年2月 静物 東京 | |
門 芝 像 寺院 |
No
12446
撮影年月
2022年11月
投稿日
2023年02月14日
更新日
2023年08月09日
撮影場所
増上寺 / 東京
ジャンル
静物写真
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
ZEISS LOXIA 2/35