この日にやって来たのはJR浜松町駅から増上寺に向かう途中にある神社だった。芝大神宮だ。普段なら通り過ぎてしまう(僕の中では)地味な存在の神社に来たのは、「だらだら祭り」が催されるからだった。祭りがだらだらと続くことからそう呼ばれるようになったというものの、狭い境内を歩いてもだらだらしている雰囲気は特に感じられない。人びとがのんびりと過ごしている普通の祭りだ。それよりも僕が興味を惹かれたのは、神輿渡御の様子だった。
都心に鎮座している芝大神宮の参道はとても短く、社殿前の階段下から出発した神輿は威勢の良い掛け声とともに進んでいくと、すぐに交通量の多い第一京浜に行き当たってしまう。芝大神宮は歴史ある神社だ。その神社の例大祭なのだから、交通量の多い第一京浜であっても、お祭りが優先されて交通規制が行われると思ったら大間違い。神輿は第一京浜の端っこでトラックに載せられて、そこから先はトラックに載せられたままの巡幸になるのだ。周囲には氏子もおらず、ひとり寂しくトラックの荷台に載せられた神輿が町を乗り進むのはちょっとシュールで、人間が滅亡した後にAIによって取り仕切られたお祭りのようだった。
コロナ禍の影響でトラック巡幸なのかと思ったら、「だらだら祭り」ではコロナ禍になる前からトラックに神輿を載せているようだ。周辺の交通量が多くて、神様であっても自由に往来を行き来できないのかもしれない。
2024年5月 人びと 東京 | |
お祭り 女の子 芝 |
No
12587
撮影年月
2023年9月
投稿日
2024年05月08日
更新日
2024年05月14日
撮影場所
芝 / 東京
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
SONY ALPHA 7R V
レンズ
EF135MM F2L USM