東京の赤坂にある東京ミッドタウンはいつ来ても空いているような気がする。滅多に訪れないけれど、やって来るといつも館内にはのんびりとした空気が流れていて、ゆったりガレリアを歩き回れるのだ。
ガレリアとはイタリア語で屋根のある商店街や歩行者用道路のこと。平たく言うとアーケードなのだけれど、オシャレなミッドタウンに使い古されたアーケードなんて言葉は使いたくなかったのだろう。ここでは地上3階・地下1階の4層吹抜けショッピング・モールはガレリアという名称になっている。
吹き抜けになったガレリアのところどころにある渡り廊下に立って眺めると、ショッピングモールと囚人監視施設の方式であるパノプティコンは同じものだという言説にもある程度納得してしまう。確かに吹き抜け構造のため、他のフロアにある店舗も視認できるし、歩いている買い物客の姿も容易に確認できる。そのことが少数の人間による多数の人間の監視を可能にするパノプティコンと同じように見えるのだろう。
しかしながらショッピングモールで視認性が高いのはやって来た買い物客の回遊行動をコントロールするためなのに対し、刑務所は、当たり前だけれど、収容者の行動を監視しやすくするためのもの。一見似ているものの、理念はまったく異なっているのだ。眺めているとショッピングモールとパノプティコンが同じかどうかより、ダンジョンのような渋谷駅の地下をこのような視認性の高い形に何故しなかったのだろうとばかり思ってしまった。
2022年2月 町角 東京 | |
赤坂 入り口 シルエット |
No
12170
撮影年月
2021年12月
投稿日
2022年02月08日
更新日
2023年08月16日
撮影場所
赤坂 / 東京
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
ZEISS LOXIA 2/35