大きな仁王門の向こうに見える朱色の反橋をカップルの男女が渡っていた。ここは横浜にある称名寺という真言律宗のお寺。境内の真ん中に大きな池があり、写真の反橋はその池に架かっている橋だ。仁王門の抜けたところに、大きな池がある伽藍は珍しい。このように門を入ってすぐ池があり、池に架けられた橋を渡った対岸に堂宇が立ち並んでいる庭園を浄土式庭園と呼ぶ。浄土思想の影響の下、浄土曼荼羅の世界を地上に再現しようとしたのが浄土式庭園だ。
浄土式庭園が盛んに造られたのが平安中期以降なのは時代背景が大きい。末法の世を迎えた平安時代中期の日本は摂関政治が衰えて、院政へと向かう時期と重なる。一方で武士が台頭しつつあり、さらには飢饉や疫病もあり世の中はデカダンスな雰囲気に包まれていた。そのような不安から逃れるために造られたのが浄土式庭園なのだ。池面に映る堂宇が浄土を連想させたのだという。この浄土式庭園を造らせた金沢北条氏の面々も水面に映る堂宇を眺めて、不安を落ち着かせていたのかもしれない。
2023年6月 町角 東京 | |
橋 カップル 門 寺院 横浜 |
No
12510
撮影年月
2023年3月
投稿日
2023年06月18日
更新日
2023年08月07日
撮影場所
横浜 / 神奈川
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
ZEISS BATIS 2/40 CF